とある飛行機好きの生活向上ブログ

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5300億円の赤字見通しのANAはなぜ人員削減をしないのか?「終身雇用」が蝕む日本社会

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私はANA派(青組)として、ANAの未来が心配です。日本の未来も心配です。

 

5300億円の赤字見通し


全日本空輸(ANA)を傘下に収めるANAホールディングスの経営状況が深刻さを増している旨日々報道されているわけですが、なんでも、今年度は5300億円の赤字となる見通しだそうです。


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響は想像を絶するものであり、様々な業界で経営危機への対処が急がれているわけですが、とりわけ航空業界が深刻なダメージを受けているのは言うまでもありません。


とりあえず真っ先に経営陣が実行すべきはやはり「人員削減」であり、世界の大規模航空会社の多くが既に社員にレイオフの通知を出しています。昨日のニュースによると、香港に拠点を置くキャセイパシフィック航空は約5900人の人員削減計画を発表したようです。兎にも角にも各国政府が実施している出入国制限により現在は国際線を飛ばせないわけで、「需要」がほぼゼロの状態が続いており、今後も当分の間それが回復する見通しは立っておらず、航空会社の社員たちにはすべき仕事がないわけです。社会インフラとして経営の維持に責任がある以上、人員削減はやむを得ない判断と言えます。


ではANAも人員削減をしているのかと言うと、現時点ではしていません。社員の給与減額やボーナスカットで何とか耐えている状態です。報道によると、社員は人に依るが月に4~5日間のみの出勤になっているのだとか。


ANAはどうやら人材削減の代わりに、まずは航空機をリストラすることにしたようです。我々飛行機ファンにとっては非常に残念なニュースですが、ANAは苦肉の策として国際線長距離路線に投入している大型機の約半分(最大で30機ほど)の早期退役を決断したようです。もうANAのB777-300ERで欧米への飛行機旅を楽しむ日は来ないのかもしれません。

 

「終身雇用」の呪縛


飛行機は保有しているだけで莫大な維持費がかかります。ですから保有機材の処分はもちろん経営判断として理解できますし、他の航空会社でも既に同様の判断をしていますから特に違和感は感じません。


しかしながら、この会社の異常なまでの人材削減の忌避に関しては個人的には強い違和感を抱かずにはいられません。


おそらく今これをお読みになっている多くの方にとっては、これは理解できない話だと思います。皆さんは日本で暮らしている日本人でしょうから。


私は長年海外にて特定分野の最前線で一人の専門家として働いてきました。「年功序列」や「終身雇用」といった日本特有の概念とは全く無縁な徹底した実力主義の世界で生きてきたのです。そんな経験を経て、日本社会に対して最も不満に感じているのが「人材の流動性の悪さ」です。


「終身雇用」というのは、新卒で大企業に入社した人たちにとってはある意味至高の制度だと思います。人生における経済的「安心」には何物にも代え難い価値があります。しかしながら、これは言うまでもなく「新卒至上主義」と密接に絡んでおり、人材の流動性の硬直化を招きますから、「新卒で大企業に入社すればすべて完了」であるのと同時に、「一度レールから外れたらおしまい」な社会を形成することになるのです。


近年、この日本的なシステムに異を唱える者は徐々に増えつつあるものの、未だにこの制度は日本社会に色濃く残っています。平成の30年間で日本経済は衰退の一途を辿り、中国にいとも簡単に抜かれ、日本が誇る大企業ですら中国資本に丸ごと変われるほどに落ちぶれてしまいました。その原因が競争原理の欠落にあることは言うまでもありません。18歳でペーパーテストに長けて有名大学に入っただけの22歳に30年間の安定した雇用と高給を約束するなど、海外ではあり得ない話なのです。


「コロナはチャンス」などと軽々しく言うつもりはありません。経済困窮による自殺者の急増も既に統計データに現れ始めているのが現状です。ただ、これからますます日本経済が冷え込むのは火を見るよりも明らかなわけで、我々大人は将来の日本を担う子供たちのためにも、よりフェアで開かれた社会にするべく必要な改革を進めるべきだと思います。


私は、いつだって学べる、いつだって新しいことを始められる、いつだって成功を目指せる、そんな社会が理想的だと考えています。「競争」はしんどいですが、怠惰な者にも自動的に富が与えられる現在の日本の社会システム(年功序列と終身雇用)は間違っていると確信しています。


以上が、20代の若い時期にレールを踏み外し海外で生きることを選んだ一人の国際人の意見です。

 

補遺


念のために書いておきますが、ANAの経営陣を批判しているわけではありません。ただ、「雇用を守る」というスローガンの下、社員はずっと自宅待機、月に4~5日だけ出勤、、、こんな馬鹿げた話があるだろうかと思わずにはいられないのです。社員の副業を容認した件ももちろん知っています。ただ、そういうのではなくて、早急にレイオフして社員に自由を与え、まず会社自体を適正なサイズに整え、需要回復の際にはレイオフの対象となった人たちを優先的に再雇用すれば良いのです。ANAの社員の皆さんは厳しい競争を勝ち抜いてきた精鋭集団です。語学に堪能な方も多いでしょう。そんな人材が職探しに苦労するほど他の平民は優秀ではありません。ですから、「人材の流動性」を社会全体で大きく向上させることが本当にものすごく重要だと私は考えているのです。


私もおじさんと呼ばれるような年齢です。「安定」なんて喉から手が出るほど欲しいです。ただ、実際問題、国際社会は日本のような緩いやり方を採っておらず、競争、競争、アンド競争です。日本が豊かな国であり続けて欲しいと願うのであれば、我々は自らに鞭を打たなければならないのです。何も全員が全員、有期雇用契約を結んでボロボロになりながら働けと言っているわけではありません。ただ、ANAのような日本を代表する大企業であれば、そこの社員であることに日々ある程度のプレッシャーを感じるのが普通ですし、一定の期間ごとに厳格な業績評価を受けるべきだと私は考えています。それが国際社会におけるスタンダードです。


とまあ以上、今回は飛行機と関係ありそうでほとんど関係ない話になってしまいましたが、最後に当ブログらしい話を一つだけ。報道によると、ANAの経営陣は「航空需要の回復は早くても2024年以降」になるだろうと考えているようです。ANAほどの企業の経営陣なら日本政府とも密に連絡を取っているのでしょうし、この報道は重いなと私は思いました。要は、ビジネスや留学等の目的以外での海外渡航、ざっくり言うところの「ビザなし海外渡航」が可能になるのは我々が思っている以上に先になるかもしれないということです。来年の予約(国際線のビジネスクラス特典航空券など)を持っている方、当ブログの読者さんの中には特に多くいらっしゃるかと思います。もちろん私にも未来のことはわかりませんが、そのチケットで飛べる可能性は客観的に言えば多分かなり低いと思います。


私は正直、皆さん以上に楽観視していました。最近ヨーロッパで感染者が急増しているわけですが、新型コロナが季節性であることなど数ヶ月前には専門家たちが明らかにしていたわけで、秋冬にピークが来ることなどとっくの前から分かっていたことなのです。また、あくまで感染者が増えているだけで、死者数は春とは比較にならないくらい少ないです。世界がその気になれば、来春から国を跨ぐ人の移動に関するルールをパンデミック以前に戻すことは決して不可能ではないと私には思えてなりません。


ただ、どうやらリアルが向いている方向は私が向いている方向とは大きく異なるようです。我々はもはやコロナと戦っているわけではないんですよね、、、とりわけ日本のような自由な国では、一般民衆の心を動かすのは本当に難しいことなのだなと。