とある飛行機好きの生活向上ブログ

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特典航空券利用時の「1マイルの価値」の計算方法

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皆さん、こんにちは。
グレタさんの登場により、我々飛行機好きにとっては冬の時代がやってきました(※飛行機は温室効果ガスを大量に排出するため批判・非難の対象となっている)、、、というのはひとまず置いておいて、今回はマイル価値の計算方法についてご紹介したいと思います。

 

1マイルの価値とは?


近年日本には実に様々な「ポイント」が存在するわけですが、その価値は様々です。ですから、常に「1ポイントの価値」が問題になるわけです。例えば、「楽天スーパーポイント」であれば「1ポイント=1円」のレートで買い物に使えますから話は簡単なのですが、他のポイントへの交換が主な保有目的になるようなタイプのポイントに関しては、特にこの「単位ポイントあたりの価値」に関してよくチェックしておくことが重要です。


さて、飛行機旅が好きな者にとってある意味最も重要な「ポイント」と言えば、やはり各種航空会社のマイレージプログラムにおける「マイル」です。


マイルの使用用途には幾つかあるわけですが、その価値を最も高めることができる用途はもちろん「特典航空券」の発券に使用することです。ただ、特に国内線や国際線の近中距離エコノミークラス利用時などの場合、特典航空券の使用が本当に「お得」なのかどうかに関しては微妙なケースも少なくありません。ですから、特典航空券利用時の「1マイルの価値」を適宜自分で計算して知ることは重要なのです。

 

計算方法は複数存在?


実は、「1マイルの価値の計算方法」に関しては諸説あるというか、度々議論の対象にもなるくらい曖昧な部分が大きいのです。


皆さんはなぜだかわかりますか?


それは、「有償航空券を購入した場合に獲得可能なマイルの価値が不確定要素となるから」です。


マイル価値を計算しようと思ったら、基本的には、「現金で有償航空券を購入した場合のコスト」と「マイルで特典航空券を発券した場合のコスト」をイコールで結び、求めたい「1マイルの価値」(ここでは『X』とする)を変数とした一元一次方程式を解けば良いということになります。中卒なら誰でもできる簡単な計算です。


「現金で有償航空券を購入した場合のコスト」は、
「チケット代、諸税等の現金支出の合計」ー「獲得可能なマイルの価値」


「マイルで特典航空券を発券した場合のコスト」は、
「特典航空券発券に必要なマイルの価値(『X』× マイル数)」+「諸税等」


となりますから、これらをイコールで結び『X』の値を求めることになります。


しかしながら、正確に言うと「有償航空券を購入した場合に獲得可能なマイルの価値(単位マイルあたりの価値)」も本来は独立した変数(ここでは『Y』とする)ですから、二元一次方程式(独立変数が二つ存在する方程式)になってしまうのです。これ単体ではもちろん原理的に解けません。


これを解くためには、変数『Y』に何らかの値を仮定する以外に方法はないのです。


それでは、『Y』の値としてはどのような可能性があるでしょうか? 私が思いつくケースとしては以下のようなものです。

 

  • Y=0(根拠:有償航空券を買ってマイルをもらったところで、そのマイルは現金のようには使えない不自由なポイントでしかない。3年以内に消費できなければ消滅してしまうわけで、価値はゼロと仮定して計算するのが妥当。)
  • Y=1(根拠:当ブログの読者のようなマニア以外にとっては、1マイルの価値は多分1円程度。)
  • Y=2(根拠:一般的に最も広く認知されているのはこの数字。1マイル=2円。国内線や国際線の近中距離エコノミークラス利用の場合、このくらいの価値でマイルを消費することになるケースが多い。業者からマイルを買う場合もだいたいこのレート。)
  • Y=2.5(根拠:マリオットボンヴォイのポイントを現金で購入しそれをマイルに交換した場合はだいたいこの値になる。)
  • Y=X(根拠:今回例えば「1マイル=5円」の価値で既に保有しているマイルを使えるのであれば、有償航空券を購入した場合に得られるマイルにも同じ価値があると考えるのが妥当。国際線長距離ビジネスクラス特典航空券を発券するようなマイラーであれば、それを今後も繰り返すことが確定的なのだから。)


とまあ、色々な考え方(仮定の仕方)があるから様々なマイラーブログ上でも議論の対象になっているわけです。


ちなみに、私は「Y=X」がベストな解だと考えています。基本的に、飛行機ファンとしてはやはりビジネスクラスに乗りたいわけです。そして、その場合はだいたい「Y>2.5」になるのです。ですから、「Y=X」と仮定することで、その特典航空券を既に利用した後であれば、「最も悲観的な結果」、つまり、「貯めたマイルを”少なくとも”1マイル=◯円の価値で使えた」ということが言えるようになるわけです。


「Y=0」を採用して、『X』の値を少しでも大きく見せ、ポイントサイト等へ誘導して儲けようとしているブロガーさんはたくさんいます。マイルは持っているだけでは確かにある意味無価値ですから全否定はしませんが、個人的には、『X』の下限を知ることこそに意味があると考えています。

 

計算例


それでは具体的に計算をしてみることで、「変数『Y』に対する仮定がいかに重要か」を見てみましょう。


ここでは例として、ANAの羽田-ロンドン便ビジネスクラス特典航空券を利用するケースで考えてみましょう。色々と日付を変えて検索してみたところ、2020年11月に空席を発見しました。どんだけ特典航空券取りづらいんだよ、、、って話ですが、まあそれは置いておくことにしましょう。

 

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ということで、必要マイル数は「90,000マイル」、これとは別に諸税等で「55,990円」が必要になります。


続いて、有償航空券の価格を調べてみました。

 

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支払総額は「585,990円」となっています。特典航空券は極めて取りづらいわけですが、1年近く前に有償航空券を買うとさすがに安いですね。三ヶ月先とかでも100万円くらいするようですし。これはこの路線のほぼ底値ではないでしょうか。


この有償航空券で得られるマイル数ですが、平のSFC会員(SFCのVISAゴールドカードで決済)を仮定すると、以下のような数字になります。

 

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これは片道ですから、往復だと「10,874×2=21,748マイル」ということになります。


さらに、クレジットカード側のポイントとして「1,000円=10マイル」が得られるので、今回の決済で「5,850マイル」が得られることになります。


ということで、合計では「21,748+5,850=27,598マイル」となります。「出張族だと10万マイルくらいすぐ貯まる」なんて知り合いが言っていましたが、まあそうなのでしょうね。


マイル単価を求める方程式は以下の通り。


「チケット代、諸税等の現金支出の合計」ー「獲得可能なマイルの価値(『Y』× マイル数)」

「特典航空券発券に必要なマイルの価値(『X』× マイル数)」+「諸税等」


上の方でチェックした各種数字を代入してみると、、、


585,990円ーY×27,598マイル=X×90,000マイル+55,990円


単位を省略してこれを変数『X』について解くと、、、


X=(530,000ー27,598Y)/90,000


となります。『/90,000』は括弧内の数字を「90,000で割る」という意味です。この式に仮定した変数『Y』の値を代入することにより「1マイルの価値」が求まるわけです。


上の方で挙げた『Y』の値を一つずつ代入してみると、以下のような結果になります。

 

  • X=5.89円(Y=0の場合)
  • X=5.58円(Y=1の場合)
  • X=5.28円(Y=2の場合)
  • X=5.12円(Y=2.5の場合)
  • X=4.51円(Y=Xの場合)


一応補足ですが、「Y=X」の場合は上の方の式で『X』と『Y』の項を係数を足し合わせることで合体させた上で『X』について解けば解が得られます。


この例題では「記事執筆時点でもまだ特典航空券に空きがあるケース」を扱っていますから、ざっくり言えば、これが当該路線におけるマイル単価の下限の参考値ということになるのではないでしょうか。つまり、「ANAの羽田-ロンドン便ビジネスクラス特典航空券」の発券にマイルを使えば、「少なくとも1マイル=4.5円くらいの価値にはなる」ということです。

 

まとめ


ということで、今回は特典航空券利用時の「1マイルの価値」の計算方法についてご紹介しました。


他の方々のブログを読んでいて、コメント欄で「その計算おかしくない?」、「正しくは、、、でしょ?」なんて遣り取りをたまたま見かけたものですから、今回ちょっと書いてみた次第です。


要は、「有償航空券の購入により得られるマイルの価値をどう見積もるか次第」ですから、正しいとか間違っているとか、そういうのって特にないんですよね。


ただまあ、個人的にはやはり「Y=X」として下限を見積もることをお勧めします。もらえるマイルが使えるのは所詮将来だから、、、と考えて「Y=0」としてしまう、なんていうのももちろんアリだとは思いますが、そんな値を知っても特に何の参考にもならない気がするんですよね。


兎にも角にも、キャッシュレス化キャンペーンの影響もあって最近の世の中は「ポイント」で溢れています。なんだかんだ言って、各種ポイントもマイルも現金とは似て大きく異なるものですから、適宜その価値についてよくよく考えてみることは重要なのではないでしょうか。