海外旅行に非常に気軽に行ける時代になりましたが、小さな子供がいる場合にはやはり色々と準備が必要です。
今回は、旅好きブロガーとして、乳幼児連れ海外旅行の特徴や留意事項についてまとめてみたいと思います。
なお、今回の記事では、航空券やホテルの手配を全て自分で行うケースを想定して書くことにします。実際には、現地添乗員付きのパッケージツアーなんかを利用される方も多いかとは思いますが、一般的なことを知っておくと安心です。
きっかけ
まず、今回こんな記事を書こうと思ったきっかけの紹介から始めたいと思います。
私は旅好きですから、いろんな方の旅行ブログをよく拝見しているのですが、たまにこんな記述を見かけます。
「こんな感じで今後もずっと世界中を飛び回りたいから、子供は作らない予定。」
「妊娠判明! これで当分飛行機に乗ることもないのかな。」
まあいかにもといった感じのごく普通の記述ではありますが、果たしてこれらは正しいのでしょうか?
子供、特に乳幼児がいると、飛行機に乗って海外に遊びに行くことはできないのでしょうか?
私はもう長年海外で暮らしていますが、乳幼児連れ海外旅行を楽しんでいる家族は知り合いの中に少なくありません。ですから、上記のような話を目にするとつい「???」となってしまうのです。
ということで、海外在住旅好きブロガーの威信にかけて、今回は乳幼児のいるファミリー向けに色々と必要な情報をまとめておきたいと思います。
マタ旅は危険?
妊娠中(マタニティー)の女性が旅行に行くことは「マタ旅」なんて呼ばれているわけですが、旅行雑誌で特集が組まれたりして、昔非常に流行りました。ただ、最近は「リスクと釣り合わない」という理由でNGとされる傾向にあります。
個人的な経験から言えば、周囲の人たちを見ている限り、案外積極的に妊娠中も海外旅行に出かける人が多いです。ただまあやはり、真面目にリスクについて検討するとお勧めはできません。例えば、当記事で勧めてもし、海外で急な出血、病院に担ぎ込まれ、、、なんていうことになったとしても私には責任が取れませんしね。また、海外で出産することになった場合は基本的に保険の適用外ですから、経済的な負担もかなりのものになります。
私としては、妊娠中は「国内旅行」にしておくことをお勧めします。更に言えば、体に負担のかかるようなアクティビティは避け、空気のきれいな場所でゆっくり散歩をしたり、ホテルステイを中心に楽しむなど、余裕を持った旅程を組むのが良いのではないでしょうか。
どうしても海外に行きたい場合は、欧米等の遠方は避け、医療設備の整った大都市を行き先として選ぶことをお勧めします。その場合ももちろん、体への負担に十分配慮した旅程を組むことが重要です。
ちなみに、航空会社にも依るかと思いますが、妊婦が国際線を利用する場合には一般的に、「妊娠28週以上の場合は医師の診断書が必要」です。お腹がある程度大きくなっていれば、チェックインカウンターで「失礼ですが、妊娠されていますか?」と聞かれますから、このことは覚えておくと良いかと思います。
パスポートの準備
当たり前の話ではありますが、乳幼児であっても海外に行く場合はもちろんパスポートが必要です。
申請の手順自体は大人が申請する場合と同様ですが、5年間有効なタイプ限定となります。赤ちゃんの場合は、申請に必要な証明写真の用意が若干大変と言えなくもないわけですが、写真スタジオのスタッフさんたちであれば慣れていますから、少々割高でもそういったところでお願いするのが確実です。
ちなみに、申請時、もちろん乳幼児は署名ができませんから、親のどちらかが代筆することになります。
赤ちゃんを飛行機に乗せても大丈夫?
この手の話につきものなのが、「赤ちゃんはいつから飛行機に乗れるのか?」という問いですが、例えば、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)の規定では「生後8日以降」となっています。これに関しては、医師ですら大きく意見が分かれるという話を聞いたことがありますが、知り合いから聞いた話を総合すると、「首が据わっていて、かつ目立った所見がなければ大丈夫」というのがそれなりに一般的な基準のようです。なのでまあ、生後3か月くらいでしょうか。例えば、新生児を国際線に乗せたなんていう話はさすがに聞いたことがありません。もちろん、事情があって乗せざるを得ないケースなどもあるのだとは思いますが。
行き先の選定
ここからは満2歳未満の乳幼児を連れて海外旅行に出かける場合について考えてみたいと思います。
まずは行き先の選定ですが、乳幼児連れでの欧米旅行はさすがになかなか厳しいものがあると思います。後述しますが、子供用に席を確保しないのであれば、飛行機内ではずっと子供は膝の上です。これを10時間続けたら疲労の度合いは尋常ではないでしょう。席を確保するにしても、一人で席に座ったまま眠れる乳幼児などそうそういないはず。長時間の抱っこを覚悟する必要があります。ですからやはり、「そこまでして行かなくても、、、」というのが一般的な見解ではないでしょうか。ただ、欧米で働く乳幼児連れの駐在員なんて今の時代珍しくはありませんから、「しんどいけれど仕方ない」というケースも少なくないとは思います。
ということで、もっと短い時間のフライトで行ける場所にしておくのが良いかと思います。人気なのはやはり台湾の台北や香港あたりですね。3時間半〜4時間半くらいのフライトで行けます。これらの大都市なら医療設備も充実していますし、質の高い宿泊施設もあり、安心して楽しむことができるかと思います。
他にももちろん幾つか候補はあるかと思いますが、重視すべきポイントは、「治安」、「医療設備」、「子供連れで楽しめそうな場所の有無」あたりかと思います。
あとは、行き先が大体決まったら、授乳室やオムツ交換が可能な場所も事前に調べておくと安心です。大都市のショッピングモールなんかにはほぼ間違いなくあるはずです。これは一例ですが、香港にある某ショッピングセンターの中の授乳室はこんな感じです。
広々とした個室になっています。外には清掃スタッフの人が常駐していて、常に清潔に保たれています。こういった観点から調べてみて、乳幼児フレンドリーな都市を選ぶのも悪くないかと思います。
航空券の購入方法
行き先が決まったら、航空券の手配をする必要があります。
まずは航空会社を選ぶ必要があるわけですが、乳幼児連れの飛行機旅では、CAさんのお世話になる機会も自ずと増えたりしますから、いわゆる「フルサービスキャリア」の利用をお勧めします。日本人であれば、ANAかJALの二択ということになります。私は基本的にANAのことしか知らないので、以下はANAの便を利用する場合の話です。
まず、満2歳未満の乳幼児用の航空券に関してですが、子供用に席を確保せず膝の上に乗せるのであれば、「幼児運賃」の適用になり、金額は「大人運賃の10%」です。この場合は、公式サイトにて、オンラインで航空券の購入が可能です。
満2歳未満の乳幼児であっても、席を確保することは可能です。その場合は「小児運賃」が適用され、金額は「大人運賃の75%」となります。小児運賃でチケットを買う場合はオンラインでは手続きができないので、ANAのデスクに電話をかけて予約・購入する形になります。
なお、特典航空券を利用する場合は、大人の分だけオンラインで予約してしまい、乳幼児の分の有償航空券はANAのデスクに電話をして別途購入すればOKです。子供の分の特典航空券も取得したい場合に必要なマイル数は大人と同じです。
バシネット席
これは是非知っておいていただきたいある意味「お得情報」の一種なのですが、皆さんは「バシネット席」というものをご存知でしょうか?
「バシネット」というのは「新生児用かご型ベッド」のことで、飛行機内の特定の席(基本的には、前面が壁になっている席)を利用した際に利用可能です。航空会社によってもちろん異なりますが、見た目はだいたいこんな感じです。
バシネット席は基本的には座席ブロック最前列の席ですから、足元の空間には余裕があり、これを利用することは親にとって大きなメリットがあるわけです。
バシネットは、離陸後、シートベルトサインが消えた後でCAさんにお願いすれば設置してくれます。ただ、このベッドの上でおとなしくしていてくれるかどうかは子供次第ですから、もしかしたら、子供が嫌がってすぐに撤去してもらうことになるかもしれません。ただその場合でも、足元の空間に余裕がありますから、負担の軽減にはなるはずです。
ちなみに、このバシネットの使用は基本的に「体重10kgまで」の乳幼児に限られています。ですから、10kgを超えているようであれば使用はできません。
バシネット席は公式サイトで指定することはできませんから、確保しておきたい場合は事前にANAのデスクに電話をしてお願いしておくようにしましょう。もちろん席数は限られていますから、早めに依頼をする方が安心です。
また、「ベビーミール」や「チャイルドミール」の依頼も電話にて可能です。必要な方は事前にリクエストしておきましょう。
ホテルの選定
では次に、ホテル選びについて考えてみましょう。
乳幼児連れとなると、タオルが多めに必要だったり、ベビーベッドやベッドガードが必要だったりと、色々とホテル側にリクエストすることが増えるのが普通です。ですから、やはり少しグレードの高いホテルにしておくと安心です。子供をお風呂に入れる時のことを考えると、バスルームなんかも少し広めであることが望ましいですしね。
注意すべき点は、例えばベビーベッドが必要なら、「そもそも利用可能なのか?」を事前に確認しておくことです。ホテルによっては、部屋のカテゴリーによって利用の可否が決まっていることもあります。あとは、ベッドガードに関しては用意のないホテルも多いです。
事前に確認をした上で、ベビーベッドやベッドガードが必要な場合は、予約時にしっかりと伝えておきましょう。オンライン予約をする際には、備考欄にその旨書いておけばOKですし、別途ホテルに直接メールを送って依頼しても問題ありません。やはり数に限りがありますから、当日チェックイン時に伝えたのでは遅過ぎる可能性があります。
ちなみに、ホテルによってもちろん異なりますが、例えば、香港にある某ホテルのベビーベッドはこんな感じです。
なお、バスタオルやアメニティー類の追加に関しては、もちろん当日部屋に入った後で必要に応じてお願いすればOKです。
最後に一点だけ補足ですが、乳幼児の場合、基本的にはどのホテルでも宿泊者数としてカウントはされません。ですから例えば、「両親+乳幼児1名」なら、基本的には「大人2名」として予約をすれば問題ありません。オンライン予約をする際に、「大人2名+子供1名」などとやってしまうと、本来なら利用可能な部屋が表示されなかったりする場合があります。もっとも、これは予約システムに依存した話ですが。
空港及び機内での過ごし方
それでは、事前準備も済んだことですし、目的地に向けて出発です!
まずは空港に向かってチェックインカウンターでチェックインをするわけですが、ベビーカーの取り扱いに関して、一点覚えておくべきことがあります。
ベビーカーはこの時点で預けてしまい、貸し出し用のものを借りることもできますし、搭乗ゲートまで自前のものを使い続けることも可能です。さらに、どちらの場合であっても、最終的に預けることになるベビーカーの受け取り場所を指定することができます。目的地に着いて、機内から出てすぐに受け取ることも可能ですし、ターンテーブルで他の荷物と一緒に受け取ることも可能です。
保安検査と出国審査を済ませて制限エリアに入ったら、免税店を見て回ったり、飲食店で食事をしたり、入室資格のある方はラウンジで過ごしたりと、リラックスして搭乗時刻を待つことになります。大きな空港であれば、小さな子供用のちょっとした遊び場が設けられていることも多いので、事前に調べておくと良いかと思います。例えば、成田空港の第1ターミナルにはこんな場所があります。
機内での過ごし方に関して特筆すべきこととしては、やはり離着陸時、気圧の変化が激しくなる時の対応方法です。乳幼児の耳にも負担がかかりますから、赤ちゃんの場合はこのタイミングで授乳をしてしまっても良いかと思います。もしくは、おしゃぶりをしゃぶらせておくのも効果的です。
シートベルトサインが消えている間、もしかしたら子供が泣いたりするかもしれません。もちろん、昼寝の時間を調整するなりしてなるべく眠くなるタイミングに合わせたり、ちょっとしたおもちゃを持ち込んだりといった準備はするべきですが、何をしても泣く時は泣くのが乳幼児です。その際には、ギャレー付近の空いたスペースに移動してあやすのが一番です。飛行機のエンジン音というのはかなりのもので、子供の泣き声はそんなにまでは響きませんし、ヘッドフォンで音楽や映画に夢中になっている人も多いので、あまり周囲の目を気にし過ぎる必要はないかと思います。
機内食や飲み物に関しては、もちろんまとめてもらっても置く場所などないはずです。ですから、CAさんには1人分後でお願いしたい旨伝え、先にお父さんかお母さんのどちらかが済ませることになるかと思います。子供の食事に関しては、機内食が食べられるのであれば、普通に与えれば良いでしょうし、離乳食等を持ち込んで与えてももちろん問題ありません。ミルクを作りたい場合はCAさんにお願いすればOKです。
ホテルでの過ごし方
乳幼児連れ海外旅行の難所はやはりフライトですから、それさえクリアしてしまえば後はどうということはありません。
空港に着いたら、入国審査を抜け、預けた荷物を受け取り、タクシーや鉄道等でホテルに向かうことになるかと思います。上の方でも触れましたが、ホテルでチェックインし部屋に入ったら、必要なものが揃っているか早めに確認しておくと良いかと思います。タオルやアメニティー類の追加も遠慮なくお願いしてしまって問題ありません。フロントもしくは客室係に電話をすればすぐに部屋まで持ってきてくれます。
乳幼児連れの場合、ホテル内で食事をとる機会が多くなるかもしれません。例えば、レストランを利用する際には、子供用の椅子や子供用の食器をリクエストすればOKです。
あとは、ルームサービスを利用するのもありだと思います。普段あまり利用しない方も多いかとは思いますが、家族だけのプライベート空間で食事が可能ですから、いい思い出になるのではないでしょうか。この場合も、子供用の食器等必要なものがある場合には、注文時にまとめてリクエストしておきましょう。
観光時の注意事項
日中、観光に出かけた際には、ぜひリラックスして思いっきり楽しんでください。
ただ、外国はやはり外国です。その国、その場所のルールというものがありますし、場所によっては、もしかしたら日本人に対してあまり良いイメージを持っていない人がいるかもしれません。脅すつもりはありませんが、いつだって狙われるのは「弱者」です。くれぐれもお子さんから目だけは離さないよう気をつけてください。
とまあ、ちょっとシリアスなことを書いてしまいましたが、実際には怖い思いをするどころか、現地の人たちから親切にされることの方がきっと多いと思いますけれどね!
いい旅をして、思い出を作って、現地で撮った写真を子供が少し大きくなったら見せてあげてください。きっと夢中で見入るはずです。「どうせ記憶になんか残らないじゃん」と言う人がいますが、さあ、、、どうでしょうかね、、、
注意すべき英語表現
例えばアジア内であっても、大都市では基本的にある程度英語は通じますから、現地の公用語が話せる方以外は旅行中は英語を主に使用することになるかと思います。「英語なんて余裕!」という方も最近では少なくないのかもしれませんが、カタカナ表記と正確な英語表現が大きく異なる単語、発音に少しクセがある単語が幾つかありますので、以下に挙げておくことにします。
- バシネット(元はフランス語でスペルは『bassinet』か『bassinette』。発音はそのままだが、アクセントは『ネ』であることに注意。)
- ベビーベッド(英語では『baby crib』もしくは『crib』。発音は『ベイビークリブ』でOK。アクセントは『リ』。)
- 子供用の椅子(座面が高くなった椅子なので英語では『highchair』。発音は『ハイチェアー』でOK。)
もちろん、これらはあくまで一例であって、実際には「highchair」という単語を知らなくても、「a chair for our baby」とでも言えば確実に通じるはずです。
後日、また何か思いつく単語があったらこちらに追加しておこうと思います。
終わりに
だいたい一通り網羅できたかなとは思うのですが、いかがでしたでしょうか。
まあ兎にも角にも世知辛い世の中です。日本というのは、ベビーカーを推して地下鉄に乗っただけで文句を言われるような国ですからね、、、
でも、一つ確かなのは、子供は国の宝だということです。子供たちは日本の未来そのものですから。人がいなければ、国なんて100年もあれば簡単になくなってしまいます。
ですから、みんなもっと恋愛にも結婚にも子供を持つことにも前向きになってくれたらいいなと、そんなことを思って今回はこんな記事を書いてみました。
「不寛容社会」とは言いますが、私みたいなのがいることもまた事実ということで。
今回の記事が、少しでも誰かのためになったら嬉しいです。